2005年06月06日

松本和明、取材旅行へ

けさ、松本が東北へ旅立ちました。文化庁の研修生として…。約1週間の旅路となります。行き先はもちろん、漆樹液産地の取材や、精製です。

彼の事、行った先ではただでは帰ってきません。今度はどんなおみやげをひっさげて帰ってくるのやら…。(笑)
posted by sawako miyazaki at 23:51| 松本の文化庁研修報告

2005年06月11日

松本、研修から戻る

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東北のうるし樹液産地の研修旅行から、松本が帰ってきました。

岩手県、青森県でのうるし畑の見学・実生での苗の増やし方、うるし樹液の精製などです。また、簡単にご報告したいと思います。
(写真は、青森県のうるし畑でのものです。)
posted by sawako miyazaki at 23:59| 松本の文化庁研修報告

2005年06月16日

松本、研修の報告 (1)

〜実生の苗の作り方〜
<6月7日>
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私のうるし掻きの師匠でもある、岩手県浄法寺町の大森俊三さんが講師です。
まず“脱ロウ”作業をします。(うるしの種はロウに覆われているのです)大森さん方式では、石臼に入れて杵でつき、小枝・荒皮などを取ります。
次に、荒皮と枝を金網に通して“木灰”と一緒に缶に入れます。熱湯を入れ、櫂をつかって掻き混ぜました。そうすると底に沈んだ灰汁とこすれて、ロウがよく取れます。

数時間後、缶をのぞくと、ロウが溶け出して灰汁の色が真っ黄色です。その灰汁を触るとロウでぬるぬるします。67jyoubouji-urusinotane2.jpg


ところで、浄法寺町のうるしの木ですが、花はまだ咲いておらずつぼみのままでした。
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やはり、四国と季節の流れがまったく違うと実感しました。(記/松本和明)
posted by sawako miyazaki at 22:29| 松本の文化庁研修報告

2005年06月17日

松本、研修の報告 (2)

〜実生の苗の作り方〜 続き
<6月8日>


翌日、灰汁に漬けていた種を網で濾し、水洗いします。
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本来なら、このまま20日ほど水を取り替えながら漬けたままにしますが、今回は短期研修のため、すぐ畑に撒きます。
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まず、畑をトラクターで耕し、耕したあとを踏み固めます。そして鍬でたたいて平らにし、種をばらばらと手で撒き詰めます。
そして藁縄を張り、藁縄の高さに土をかけます。かぶせた後は、表面を平らにし、乾燥を防ぐため藁を荒く敷き詰め、縄を張り、風で飛ばないようにアンカーを打って留めます。通常の工程だと20日ほどで発芽するそうです。

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撒いた種が発芽すると、やがてこのような苗に成長します。
posted by sawako miyazaki at 22:00| 松本の文化庁研修報告

2005年06月18日

松本、研修の報告 (3)

〜うるしの精製〜
<6月9日> 


浄法寺の隣町の安代漆器センターで、うるしの精製をしました。うるしは、大森俊三さんの掻いた昨年8月20日頃の浄法寺うるし約一貫弱。
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一貫用(4リットル用)精製機で朝8:48分から精製開始。30分ほど攪拌してから温度を上げていきます。今回は43.5℃に温度を設定しました。9時半ごろ過熱開始。

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午後1時過ぎごろ、ほぼ水分が抜けた状態となりました。

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1時半には精製終了です。


大森俊三の2004年8月20日頃のうるし/ 攪拌時間4:42分/ 生うるし3328gが仕上がり重量2810.8g/ 歩留まり84.4%。
もともとゴミも少なく、色も明るい特別にきれいな生うるしでした。日本産と表示が付くうるしでも、65%〜80%が通常の歩留まりです。精製漆にすると歩留まりの良さに改めて感心します。
(記/松本和明)
posted by sawako miyazaki at 22:19| 松本の文化庁研修報告

2005年06月19日

昨日報告の“うるしの精製”について

ー宮崎よりー
松本のご報告、なるべくかんたんにご紹介したつもりですが… ちょっと分かりにくいかもしれません。(^_^:)

工房では、素材そのままの面白さを活かすため、なまのうるし樹液を使っていますが、一般的には攪拌・過熱して均一化・安定させた精製漆を漆工芸に使います。
(例えば、なまのうるし樹液はしぼりたて牛乳もしくはその牛乳で作ったナチュラル・チーズといった感じでしょうか…? 精製漆は、成分が沈澱しないように攪拌して過熱殺菌した市販の一般的な牛乳、そして流通しやすいプロセスチーズ。

厳密にはニュアンスが異なりますが、かなりマニアックな話ですので…(笑)、一般の方にはこう説明したらイメージが伝わりやすいのでは?と思いました)

今までなまの樹液をメインに使っていましたが、精製漆の良さも取り入れて、より多様な和うるしの表現にチャレンジしていこうと思います。
posted by sawako miyazaki at 22:42| 松本の文化庁研修報告

2005年07月25日

『 植えて30年、今日が晴れ舞台 』

7月23日の土曜、松本が研修先の奈良県で漆掻きをしてきました。
松本和明が、その様子をちょっとご報告します。

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北村昭斎さんと日本工芸会近畿支部漆部会の人たち。

奈良の大仏さんのすぐ近く、奈良市のど真ん中に、とてもりっぱな樹齢30年のうるしの木があります。螺鈿の人間国宝、北村昭斎さんの自宅の庭です。日本工芸会近畿支部漆部会の人たちが見守る中、漆を掻かせてもらいました。僕が行って掻いたのはこの1日だけでした。が、北村先生が今まで上手に傷をつけられていたので、思いのほかいい漆がたくさん出て、会の人たちと盛り上がりました。(記/松本和明)

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今日はこれだけ採れました。8月になると、もっとたくさん出ます。


今日の日記のタイトルは、その日の北村先生のセリフだそうです。(笑)
先生によると、30年ほど前に会津系の苗を手に入れ、自宅の庭に植えたそうです。
漆掻きのできる松本が、研修でこの夏、先生のところに行くことになったので、「この木も大きくなりすぎたし、いい機会だから工芸会の人を集めて漆掻き研究会をしよう!」
…と思い立ったそうです。運良く、ほんとうにいいシーンに出会えたとなあ…と不思議に思います。
posted by sawako miyazaki at 22:01| 松本の文化庁研修報告

2005年07月30日

松本、研修の報告

先日の奈良での研修での研修に引き続き、今度は長野県在住のもと漆掻きの男性に、当時の様子をお聞きしました。
松本和明が、その様子をご報告します。

〜福井のうるし掻き技術を取材〜
<7月21日>


半世紀前頃から長野県で、漆掻きをされていた和田佐七さん(83才)にお話頂いた。
和田さんの最後のうるし掻きは1984年。
70歳になるまでうるしを掻いていた。
うるし掻きの師匠は福井の人で、越前のうるし掻きは70人ほど長野に入って来ていたそうだ。
当時の山の現金収入といえば、薪か炭くらい。越前から出稼ぎするなら良い金になるのでは…と当時の日本漆組合副会長と知り合い1948年にうるし掻き技術を習ったそうだ。
そして、漆問屋でもある師匠に借金をし、1949年より35年間うるしを掻く。当時は、政府が助成金を出して組合を作るように奨めており、日本全国の漆掻きの状況を把握しようとしていたらしい
。職人一人当たりの仕事量は、ひと夏で10年〜15年生のうるしの木を400本ほど掻いていた。掻く木は毎年買い付ける人がおり、1本当たり20円〜30円程で取引きされていた。(記/松本和明)

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※写真/当時の様子を語る和田さん。
posted by sawako miyazaki at 22:29| 松本の文化庁研修報告

2005年07月31日

松本、研修の報告 (2)

福井のうるし掻き技術を取材〜 続き

次に、和田さんのうるし掻きカンナとうるし掻き鎌を見せていただいた。

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越前の道具が(○に五)ほとんどで田子(○にと)のものが少し混じる。、道具の研ぎは基本的な形状をしている。

和田さんによると、生うるしの価格が高かったときは、長崎の国旗事件の翌年で1貫目25,000円。さらに翌年が10,000円ほどに下がったそうだ。
和田さんが嬉しかったのは、宮様の結婚式に使うので売ってほしいと言われて1貫目8,000円で買い求められたこと。まことに職人名利に尽きる話と思う。
(記/松本和明)

写真は和田さんの道具です。たくましい機能美にあふれていて“生きた道具”だなあと思いました。
その後も生うるしの価格は下がり、和田さんは自らバイクにまたがり、鬼無里から木曽まで直接注文取りをして歩いたそうです。

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松本が近所の漆の立ち木を見に、和田さんに案内して頂いたのですが、83才にして背筋をのばし颯爽とバイクにまたがるこの姿!
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終戦後はシベリア抑留になり、無事帰還したあと、この仕事に就いたそうです。苦労された経験も持ちつつ、多くの時代を乗り越えて今なお熱心に山と向き合う、日本男性の粘り強さを見せていただけたと思います。和田さん、お世話をして下さった長野市鬼無里の市所長代理の宮下さん、ありがとうございました。
posted by sawako miyazaki at 22:01| 松本の文化庁研修報告